カーボンニュートラル社会の実現へ、一人ひとりバトンをつないでいく。
株式会社三井E&S
執行役員玉野工場長 兼 玉野事業所長 飯塚 岳史
1992年4月 三井造船株式会社入社
2018年4月 三井E&S造船株式会社 執行役員 玉野艦船工場長
2021年4月 株式会社三井E&Sビジネスサービス 代表取締役社長
2023年4月 株式会社三井E&S 執行役員 舶用推進システム事業部 玉野工場長 兼 玉野事業所長
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
舶用ディーゼルエンジンで国内1位。三井E&Sの基幹事業所。
三井E&S(イーアンドエス)は船舶、舶用ディーゼルエンジン、港湾クレーン、産業機械から海洋資源開発まで、多彩な製品・サービスを提供する三井グループの重工業メーカーです。特に、主力の舶用ディーゼルエンジンにおいては国内トップとなる70%超のシェアを誇り、グローバルでも世界有数のエンジンメーカーです。
我が国をはじめとして世界中の人々の暮らしは、船舶に支えられていると言っても過言ではありません。日本では貿易量の99.6%を海上物流が担っており、世界的にも商取引量の8割超が海上物流にて賄われています。
世界の海を駆け巡る船舶に欠かせない動力を提供するメーカーとして、さらには世界の海運と暮らしを支える存在として、私たち三井E&Sは非常に大きな役割を担っています。
その中で玉野事業所は、舶用ディーゼルエンジンの開発から製造までを一手に担う、まさに三井E&Sの基幹工場と言える存在です。社員の半数超が玉野事業所で活躍しており、常駐協力会社を含めると4,000人を数えるスタッフが勤務しています。
次世代に向けた技術開発・製品開発を推進するとともに、年間にして約150台、実に2日に1台のペースで巨大な舶用ディーゼルエンジンを国内外に向けて出荷しています。
脱炭素社会の実現に向け、多彩な新燃料エンジン開発を推進。
船舶1隻の寿命は一般的に20年~30年と言われており、逼迫のない海上物流を維持していくためにも、新造船の建造需要は今後も途切れることなく活況が続くと見込まれます。しかし、その中で造船分野は大きな課題に直面していることも事実です。
カーボンニュートラル、つまり脱炭素社会の実現への取り組みです。我が国では、2015年の国際会議COP21において採択された「パリ協定」を受け、2022年より「国際海運2050年カーボンニュートラルに向けた取組」がスタート。2050年までの温室効果ガス排出ゼロ達成を目標に、官民一体となったさまざまな取り組みが進められています。
その中で舶用ディーゼルエンジンが担う役割の大きさは言うまでもありません。現在の重油から、アンモニア、メタノール、LNG、LPG、水素などのクリーンな新燃料へ。脱炭素に貢献する新たな燃料への転換が、今まさに求められています。
我が国の舶用ディーゼルエンジンにおけるゼロカーボン化に向けて、中心的な役割を担っていくのが私たち三井E&S 玉野事業所であると自負しています。これまでの技術集積やグループ各社とのシナジー、そして販売シェアのスケールメリットを活かして多様な全新燃料への対応を推進し、「この新燃料にも対応できないか」というお客さまの要望に応えていきます。
もちろんそのためには、開発も設計も一筋縄ではいきません。しかし、だからこそ玉野事業所のモノ作りは面白味に満ちており、幅広い分野における知見を獲得するチャンスが一人ひとりにあり、チャレンジの醍醐味があります。
三井E&Sの新たな事業創出につながる、戦略製品の開発も担う。
カーボンニュートラルへと歩みを進める社会において、私たち玉野事業所は三井E&Sの将来事業創出を目指し、これまで産業機械で培った技術を応用した戦略製品の開発も手がけています。
そのひとつが、水素の圧縮技術を活かした新製品開発です。2004年に水素ガスを110MPaまで昇圧可能にした子会社との技術シナジーにより、製鉄用大型コンプレッサー、洋上水素ステーション、さらには洋上風力発電との連動など、さまざまな開発を進めています。
大規模な水素圧縮機をはじめとした実験用設備が玉野事業所には備わっており、実験段階を含む多様な実用化プロジェクトが、市場へのデビューに向け進行しています。
アンモニアの供給技術も戦略製品開発における大きな柱のひとつです。アンモニアは舶用エンジンなどへの高効率なエネルギー供給が期待されるカーボンフリー燃料ですが、取り扱いの難しい物質でもあり、供給装置はまだ世の中にありません。
私たちは次の新規事業へとつながる新技術として、世界初のアンモニア燃料供給装置の実用化に向けた開発に取り組み、実用段階に入っています。
さらにLNGの供給装置については開発を完了。すでに多数の船舶に搭載されており、これら周辺機器を含めた、舶用ディーゼルエンジンにおける包括的なソリューションの提供を目指しています。
粘り強く全員でモノ作りに取り組む、連携のとれた社風。
このように玉野事業所は、多彩な開発プロジェクトと新たな舶用ディーゼルエンジンや産業機械の製造を日々手がける一大拠点です。巨大な製品や大きな目標に向けて、大勢の人がひとつひとつバトンを渡しながらモノ作りを進めています。
ですから、玉野事業所で活躍する社員はコツコツと自らの役割に取り組むと同時に、全員でひとつのものを組み上げていくチームワークを大切にする人が本当に多いです。これは部署や役職、年代を問わず、全体的な傾向であり、密な横連携や助け合いの源と言えるでしょう。
精密なものから巨大なものまで、玉野事業所のモノ作りはすべてがつながっています。部署間の垣根なく業務をリレーしていかなければ、私たちの仕事はまわりません。だから横のつながりも自然とでき、良い人間関係が醸成されていくのだと思います。
また近年の採用者を見るにつけ、粘り強くモノ作りに取り組み、さらには積極的に外部にも働きかけていくような人材が、今後ますます増えていくことも期待されます。
例えば私が若かった頃は、「船に携わりたい」「エンジンを作りたい」という想いひとつでした。今の若手たちはさらに「地球環境の保全に貢献したい」といったプラスアルファの想いを持っています。心から頼もしいと感じますし、実際に日々仕事を共にする上長やベテラン社員も大いに刺激を受けています。
また、働きやすさの面では休日の多さが挙げられます。年間の3大連休はそれぞれ7~9日間あり、有給も非常にとりやすい環境です。助け合いの文化が浸透しているからこそ、しっかりとバトンをつなぎつつ安心してオフも楽しめます。
豊かな未来社会の実現に、最前線で貢献できる場所。
CO2排出量への危機感を多くの人々が共有するようになった昨今。カーボンニュートラル社会への移行は我が国にとって喫緊の課題です。
前述のように日本では貿易量の99.6%を海上物流が担っており、そこで活躍する船舶の多くが、私たち玉野事業所が開発製造したエンジンを搭載しています。
我々自身が舶用ディーゼルエンジンの未来を変えていかなければ、世界は変わりません。すなわちそれは、我々自身がクリーンエネルギーエンジン等の開発を通じて、ダイナミックに世界を変えていけるということです。
開発・設計・製造までトータルに手がける玉野事業所では、クリーンエネルギーエンジンなどを自分たちの技術で作って出荷するまでのすべての工程を、社員一人ひとりが目の前で見ることができます。
人々の豊かな未来に、社会に貢献している。三井E&S 玉野事業所は、そうした意義を存分に感じながら仕事ができる場所であり、我々のフィールドは国内のみならず、世界中に広がっています。
会社としても現在、ジョブローテーションをはじめとした人事制度の改革を行うなど、より広い世界へと歩み出す人材の育成を推進しています。もちろん玉野事業所内においても、部署間の垣根なくさまざまなことにチャレンジできる環境となっています。
今後中途入社する方も、やりたいことにどんどん挑戦し、充実したキャリアを積んでほしいと期待しています。