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ディーゼルエンジントップメーカー、新生三井E&Sマシナリー。

株式会社三井E&Sマシナリー
執行役員/玉野機械工場長 堤 広行

更新日:2019年2月06日

1994年4月 三井造船株式会社入社
2013年5月 機械・システム事業本部工場製造部 部長
2018年4月 持株会社体制移行に伴う分社化を行う
      株式会社三井E&Sマシナリー 執行役員
      玉野機械工場長 現在に至る
※所属・役職等は取材時点のものです。

三井造船株式会社の機械・システム事業を承継する新会社。

1917年(大正6年)に今の岡山県玉野市で創業した三井造船株式会社は、2018年4月、持株会社体制への移行とともに、商号をから「株式会社三井E&Sホールディングス」に変更。船舶・艦艇事業、機械・システム事業、エンジニアリング事業の3つの事業本部をそれぞれ独立、分社化しました。

そのうち、機械・システム事業を担う事業会社に、ディーゼルエンジンやタービンなどのアフターサービスを展開していた三造テクノサービス株式会社(旧三井造船(株)の100%子会社)を吸収合併し、誕生したのが「株式会社三井E&Sマシナリー」です。

これにより製品の開発・製造のみならずアフターサービスにも力を入れ、ライフサイクル全体にわたり、お客様に安心してより経済的にご使用頂けるよう、サービスのご提案、ご提供ができる会社となりました。これまでも役割分担をして別々の会社で協力しあいながらサービスを提供しておりましたが、一つの会社になることでより高い付加価値を出せるようになったと思います。

やはりコミュニケーションロスが減り、情報共有がスムーズになった点は非常に大きいと思います。例えば、顧客の要望だけでなく、実際に顧客に納品している製品の使用状況・状態を詳細に把握し、それを新たな製品開発に生かしていくことができるわけです。開発からアフターサービスまで一気通貫でやる強みを生かし、より信頼性、経済性の高い、環境に優しい製品、サービスを提供していきます。

舶用ディーゼルエンジンの世界トップメーカー。

当社はディーゼル事業部、運搬機システム事業部、産業機械事業部、社会インフラ事業部、テクノサービス事業部の5つの事業部門で事業を展開していますが、私がおります玉野機械工場では天然ガス・エタン・メタノールといった環境に優しい燃料を用いる電子制御型の各種ディーゼルエンジンを製造しています。また、燃料となる天然ガスなどをディーゼルエンジンに供給する高圧のポンプやコンプレッサーなどを開発・製造しています。

ディーゼルエンジンにおいては、当社は1926年にデンマークのB&W社(現MAN Diesel&Turbo社)と技術提携を結んで以来、単一機種のエンジンを製造し、2018年6月には累計生産1億馬力を達成。累計製造台数は6,500台を超え、世界のディーゼル・エンジン・トップメーカーとして生産実績と経験を積み重ねてきました。日本国内においては50%を超えるシェアを占め、他社を大きく引き離す生産量を誇ります。国内舶用業界の規模は20年前と比較しても大きくは変わっていませんが、実績を積み重ねる中でお客様から選んで頂くことが増え、シェア拡大に繋がっています。

お客様の立場で考え行動する。

環境・省エネ対策技術の研究や製品開発、製造技術、営業、アフターサービスこれらが一体となり実績を積み重ねてきたことによってお客さまに信頼をいただき、それが結果としてシェア拡大に繋がっていると思います。

また、私たちのサービスの大きな特長として「納期に対応ができる余力がある」ということがあります。これは短納期で、ということだけではなく、お客さま(主に造船会社)が製品の納入日を変更したいときに対応できる能力やノウハウが備わっている、ということです。

当社は大型船に搭載されるディーゼルエンジンを製造しています。その名の通り大型船ですから、さまざまな工程があり、当初計画したスケジュール通りにはいかないわけです。またディーゼルエンジンも1台1台受注生産ですし、大型ですので作り置きすることはできません。出来上がったからと言ってお客さまのところに置いておくこともできません。

完成したディーゼルエンジンは船に乗せ、お客さまのドックに運び、そこからクレーンで直接船に搭載されます。そのため、納入日の朝にはお客さまのドック前で待機している必要があります。この納入日が当初の予定通りであれば良いのですが、新造の場合、ご注文を頂いてから納入まで約2年ということもあるため、そうもいかないわけです。しかし、我々メーカーとしては予定した日に製品を出さなければいけない。また、工場が空かなければ、次の製品の製造工程にもさまざまな影響が出てしまいます。

とは言え、お客さまのご事情もありますので、我々はそれを汲んで納期に対応する、ということに”選択と集中”をし、投資をしてきました。この事業で勝ち残っていくと決めたわけです。

それもあって、同業他社と比較した時に少しだけではありますが、お客さまのご要望にお応えできる余力やノウハウを蓄積できているものと思います。

急速に進むグローバル化、技術革新に対応し成長を続ける。

ディーゼルエンジンについては国内がメインですが、コンテナクレーン(運搬機システム事業部)は海外での大きなヤード建設、また国内でのリプレイスや高効率化の需要を背景に成長を続けています。また産業機械においても、インド、ロシア、中国など海外の製鉄所における設備の高効率化や、国内外において“地球にやさしい工場”を目指すなかで、当社の製品を採用頂くことが増えています。

このように、開発からアフターサービスまで一気通貫で、しかもそれをグローバルに展開しているため、職務・ポジションは多岐にわたり、やりがいを大いに感じて頂けるフィールドがあると思います。当社に興味を持った方には是非門をたたいて頂きたいと思います。

編集後記

チーフコンサルタント
瀬川 泰明

2000年に54億トンであった世界の海上荷動き量は2015年には90億トンと倍近くまで増加。新興国のめざましい経済成長と共に、外航海運の重要度は年々増しています。その外航海運を支えているのが大型船であり、「三井E&Sマシナリー」はその動力となるディーゼルエンジンを製造しています。

今回、完成したディーゼルエンジンを見せていただくために事業所内に入りましたが、まずその敷地の広さに驚きました。そして、ディーゼルエンジンやそれを吊り上げるクレーンの大きさも想像以上で、そのスケールの大きさに男心がくすぐられました。

このディーゼルエンジンが世界中の海で働き、我々の生活を支えている…。この事実に、同社はまさに「インフラ事業」を担っているのだ、と感じました。

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