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新生・両備システムズとして、西日本No.1のICT企業を目指す。

株式会社両備システムズ
代表取締役専務兼ビジネス戦略本部長 小野田 吉孝

更新日:2020年10月28日

1990年 両備システムズ入社
2009年 行政システムカンパニー 部長就任
2013年 執行役員就任
2017年 取締役常務執行役員就任
2019年 専務取締役就任
2020年 代表取締役専務就任
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

前進的な合併により「新生・両備システムズ」が誕生。

2020年1月、両備システムズグループは6社が統合して“新生・両備システムズ”となったのですが、まずはその背景からお話します。

これまで各社は顧客や技術領域による住み分けを行い、それぞれに特化した専門的なICTサービス提供を追求してきました。各社で連携を図りながら、シナジーを生み出してきた一方で、どうしても一部の事業領域において重複が発生してしまう側面もありました。

昨今は事業環境の変化が激しく、中でもIT領域は顕著です。今後も先駆的なソリューションを創出できる企業であり続けること、日本に限らず海外勢も含めた多くの先進的企業と対峙することを見据えたときに、技術や“人財”をより有効活用する道を模索し、「前進的な合併」という戦略を取るに至りました。

※株式会社両備システムズを存続会社とし、以下5社を統合
◆株式会社両備システムイノベーションズ(製造業/教育機関への情報サービス)
◆株式会社リョービシステムサービス(ITアウトソーシングサービス)
◆株式会社両備システムソリューションズ(⾦融/流通業への情報サービス)
◆株式会社リオス(運輸/交通業(移動体関連)への情報サービス)
◆株式会社エス・シー・ラボ(情報セキュリティサービス)

「西日本No.1のICT企業」に向けた中長期ビジョン。

今回の合併により、他のグループ会社を含めた連結売上は300億円規模となったわけですが、中長期的には「2030年に500億円」というビジョンを描いています。“新生・両備システムズ”の現在はその第一期、「統合期」に位置付けており、その先に迎える「変革期」に向け、3年程度をかけて組織体制、人事制度など様々な部分を再構築するべく中長期の計画を立てているところです。

中長期ビジョンの実現に向けて注力している事業は大きく3分野、「公共」「ヘルスケア」「民需」です。それぞれの分野で戦略の違いはありますが、共通して目指しているのは、これまで培ってきた強みはそのままに、合併によるシナジーを強力に生み出しながら、より革新的で実効性の高いソリューションを提供していくこと。そして、その結果10ヶ年計画を達成し「西日本No.1のICT企業」になることです。

10ヶ年計画達成の鍵を握る三本の柱。

具体例を挙げると、まず「公共」においてはデジタル庁設置に向けた動きや“ハンコレス”の加速など、IT領域におけるトピックスが増えています。その中で両備システムズにおいては自社で保有しているデータセンター(DC)が強みを発揮しています。

岡山は地震や台風といった自然災害のリスクが少なく、交通の利便性においても陸路/空路ともアクセス性に優れているため、DC構築においては抜群の立地環境と言えます。我々は2003年からDCサービス「Ryobi-IDC」の提供を始め、同年の第1センター稼働を皮切りに、2013年に第2センター、そして2020年9月に第3センター稼働とサービスを拡大してきました。

公共系システムはLGWAN(総合行政ネットワーク)という少し特殊なネットワーク環境が必要となるのですが、自社DCを基軸とすることで極めて安全性の高い環境を構築しており、総務省の外郭団体であるJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)から高規格DCとして認定を受けています。今後はLGWAN上で利用できるアプリケーションやサービスの提供を拡大し、より網羅性の高いプラットフォームを構築していきたいと考えています。

「ヘルスケア」分野に関しては、AIを活用したプロジェクトが加速しています。例えば早期胃ガンの深達度診断や新型コロナウイルスによる肺炎の罹患診断など、産官学連携による共同開発が進んでいます。学習精度を上げるために必要となる膨大なデータの管理や、AIをシステムに組み込む部分を我々が担っており、事業化に向けて形になりつつあります。

AI活用と一口に言っても、それを我々が事業として展開していくには、実データの提供元や、実際に医療機器として製造・販売が可能なパートナーとの連携強化が必要となります。システム開発にとどまらず、そういった事業全体のスキームを構築することに注力しています。

また「民需」分野においても、SI事業から自社プロダクトを基軸とするサービス・ソリューションに拡大、シフトします。

いずれの分野においても、先進的技術を取り入れたデジタルトランスフォーメーションを推進し、グループ内外の連携を強めながら、次なる事業フェーズを見据えた投資を進めているところです。

マネジメントクラスの採用によるガバナンス強化。

採用という面でお話しすると、新卒採用においてはブランド力も上がっており、県内企業では就職希望ランキング3年連続1位に選ばれました。今後はさらにブランド力を高めていけるよう範囲を広げて、中四国、西日本、そして全国レベルへとステップアップできるよう施策を講じていきたいと考えているところです。

中途採用においては、Uターンのほか、我々の事業に興味を持ち、地縁のない岡山へIターンして入社してくれる方も増えてきました。システムエンジニアやPL・PMを中心に採用を続け、今後はAIアナリストやデータサイエンティストといった先進領域のエンジニアも積極採用していく方針です。

また、合併したことで浮き彫りになった課題として「マネジメントクラスの強化」という点があります。以前は社員数700名強の規模でしたが、合併により1500名強に拡大しました。そうなると、これまで以上にプロジェクト単位、事業単位でガバナンスを効かせていく必要があります。

従来は管理職やエグゼクティブクラスはプロパー社員の割合が高かったのですが、最近ではプロパーとのバランスを取った上で優先順位を付けながら、マネジメントポジションについても外部からお招きしています。

優秀な“人財”を招き入れる土台づくり。

これは採用におけるブランド力という部分にも繋がると思いますが、優秀なエンジニアやマネジメントクラスを採用するには、やはり処遇や制度面においても柔軟性が必要だと考えています。「今までこうやって採用してきたから」「制度はこうだから」ということに固執していては、現有戦力を超える人財の採用は実現できないと捉えています。

あくまで既存社員にとって不利益にならないようにという前提には立ちますが、優秀な方を招き入れる仕組み・枠組みを作っていけるように、こちらも中長期的な視点で変革を進めているところです。そうして迎え入れた方が社内で活躍し、既存社員に刺激と影響を与えながら組織全体のレベルが底上げされると、10ヶ年計画にも大きくドライブがかかりますし、実際にそうしたケースが生まれてきています。

岡山にいながら、東京などの都市部や世界に目を向けても遜色のないレベルでキャリア構築ができる、そんな環境を実現するための土台づくりが私の役目の一つだと考えています。

変革しながらも守り続ける「忠恕」の精神。

私自身は東京でのキャリアが長かったのですが、振り返ると、やはり東京の「人」や「ビジネス」は総じて洗練されていてレベルも高いと感じます。それもあって、東京のような都市部でキャリアを積んできた方を招き入れて、刺激と影響を社内に取り入れていきたいという思いが強いです。

しかしその一方で、これまで大切にしてきた自社の風土は守っていきたいとも考えています。

両備グループの経営理念である「忠恕(ちゅうじょ)」は、”真心からの思いやり”という意味で、これを体現したカルチャーが根付いています。「面倒見が良い」だとか「一緒になって汗をかく」だとか、そうした関わり方を良しとする風土ですので、それに共感していただける方に入社していただきたいですね。

編集後記

コンサルタント
吉田 祥典

2020年1月に6社が合併して誕生した、新生・両備システムズの代表取締役専務、小野田様にお話をお聞きしました。設立から50年を超える両備システムズは、地震や台風といった自然災害のリスクが少ない岡山という立地環境を活かし、2003年にデータセンター事業に参入し、2020年現在、3つのデータセンターを稼働させています。また、そういった公共性の高い事業だけでなく、AIを活用したヘルスケア事業にも進出しています。

今後、さらに新事業を高いレベルで成長させていくために、今回の前進的な合併という道を選ばれたそうです。これまでは新卒入社した方々の成長とともに事業を進化させてきた同社ですが、今後は社外から人材を招き、事業の成長スピードを上げていきたいとのことでした。

そういった優秀な人材へのアピールポイントをお聞きすると、「岡山にいながら大都市と変わらないキャリア構築ができる会社にする」と力強くお話になっていたのがとても印象的でした。私たちもぜひ一緒に岡山を盛り上げていきたい、そう感じるインタビューでした。

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