2022.05.27
"ウェルカム"ではないことも?地方への移住希望者に対する企業のホンネ
リージョナルキャリア岡山のコンサルタント、瀬川です。以前、ブログの中でこんなことを書いたことがあります。
"これまではUターンや地方への移住を実現しようとすると、転職がセットとなり、今の職場や仕事に不満がない人でも「転職をせざるを得ない」というのが実情でしたが、これからは、今の仕事を続けたまま、転職をすることなくUターンや地方移住を実現できる、というケースが増えていきそうです。"
※参考:2021.9.30-「脱・首都圏」を狙う企業が岡山に注目するべき理由)
そして、昨年12月にNTTデータ経営研究所が実施した『地方移住とワーケーションに関する意識調査』では、これを裏付けるような結果が出ています。
「転職せずに地方移住」を希望する人が6割超
まず、『地方移住後の就業に対する意向』について。調査結果によると、現在の勤務先を変えずに地方移住を希望する人が60%を超え、移住先の企業・団体等へ転職したいと回答した人は15%程度にとどまっているようです。
<調査結果より>
・地方移住後の就業に対する意向については、「主にテレワークを行いながら現在の職場での勤務を続けたい」とする回答が最多の44.4%となり、移住後はテレワークを前提としつつ、今の勤務先で働き続けたいという意向を半数近くの回答者が有している。
・「主に通勤しながら現在の職場での勤務を続けたい(16.3%)」「現在の勤務先において、移住先に近い事業所に異動して勤務を続けたい(5.6%)」を合わせると、6割超の回答者が現在の勤務先で働き続けることを前提とした地方移住を検討している。
※参照:NTTデータ経営研究所「地方移住とワーケーションに関する意識調査」
「移住先に永住したい」と考える人はわずか2割
それから、『地方移住後の中長期的なライフプラン』について。住み心地やライフステージによって居住地を変える人が大半で、移住先に永住したいと考える人は2割にとどまっているようです。
<調査結果より>
地方移住後の中長期的なライフプランについては、「移住先の地域に永住したい」とする回答は21.5%にとどまる一方、「移住先の住み心地により、他の地域に転居するか判断したい(27.1%)」「ライフステージが変化したら、他の地域に転居するか判断したい(23.3%)」という回答が5割超を占めたことから、地方移住に関心を持ちつつも、必ずしも永住を前提とせず、今後の環境変化に応じて転居を検討したいと考える層が大半であることが分かる。
※参照:NTTデータ経営研究所「地方移住とワーケーションに関する意識調査」
「移住者ウェルカム」な自治体。一方、企業はネガティブな反応も
地方移住への興味関心があり、様々な情報を得て決断をするわけですが、それでも"やってみないとわからない"ということですよね。やってみて、「やっぱり違ったな」と思えばやり直せば良いわけで、それは人それぞれ、自由です。
しかしながら、地方企業、特に人材採用を行う経営者や人事担当者は、こうした移住者に対してネガティブに捉えるケースが少なくないのも実状です。なぜならば、良いか悪いかは別として、「長く勤めてくれそうか」という点を重視する企業が非常に多いからです。
(もちろん移住(転職)希望者も、面接で「環境変化に応じて転居を検討したいです」とは言わないと思いますが・・・)
岡山県もそうですが、地方はほとんどの県で転出超過となっているため、自治体は転出に歯止めをかけるための施策や移住促進のためのPRを積極的に行っています。
自治体にとっては移住希望者は「ウェルカム!」な状況ですが、企業が同じように迎えてくれるかと言えば、必ずしもそうではありません。
※繰り返しになりますが、良いか悪いかは別として(笑)
地方移住に対するハードルが下がっている風潮が強い昨今ですが、もし転職をセットで行うのなら、「企業(面接官)にどう見られるか」というところまでしっかり意識しておくことが重要です。