2022.02.17
そんなのあり?"問答無用"の転勤を言い渡されたAさん(37歳男性)からの転職相談
会社から転勤を言い渡されたAさん(37歳男性)
彼には重度の障がいを持つお子さんがいらっしゃり、奥様とともに献身的にサポートをしておられました。現在の会社には15年にわたって勤め、キャリアも積まれている方です。そんな彼は、会社から転勤を言い渡されることになりました。
新しく導入された人事制度のもと、いわゆる「総合職」に分類された彼は、お子さんのこともあって転勤が難しい旨を会社に伝えます。職務変更や給与が下がることも承知で「一般職」へ変更してほしいとも伝えました。それでも会社の返答は「NO」。現在の職務上、長期の海外出張や海外赴任も避けては通れないと言われたそうです。
詳しくお話をお聞きしましたが、どう考えても転勤なんてできる状況ではありません。それなのに・・・こんなことがあっていいのだろうかと、私も複雑な思いになりました。
会社や仕事は好きだけど・・・
私は転勤や異動を100%否定するわけではなく、それが組織戦略上必要な状況があることや、個人にとっても転勤によって得られる経験があったり、プラスに働くというケースがあることは理解しています。ただ、他の選択肢もなく転勤を「強制」することについてはいかがなものかと思うのです。
Uターンや特定の場所への転居を考える方は、ご自身やご家族に何かしらの変化や問題が起こり、それを解決するために転職を検討される方が圧倒的に多いです。
例えば、
「両親ともに高齢で、兄弟姉妹は全員地元を離れているため、自分が戻って両親をサポートしたい」
「父親が倒れて母親が介護をしているが、介護の負担が大きいため地元に戻って母親をサポートしたい」
「共働きで妻の育児負担が大きいため、妻の地元、義父母の近くに移り住みサポートを受けたい」
といった理由などです。
転居を考えている方だけでなく、現在暮らしている地を離れるのが難しいという方もたくさんいらっしゃると思います。
私自身も、父が病を患い、少しずつ体力が衰えています。サポートする母の負担も大きくなっており、私が近くで両親をサポートしたいという気持ちもありますし、実際にサポートをしなければいろいろと難しい状況です。苦労話をしたいわけではなく、同じような状況やそれ以上に大変な状況の方って本当にたくさんいらっしゃると思うんですね。そんな中で転勤、となると、いくら会社や仕事が好きだったとしても転職を考えざるを得ないでしょう。
企業も個人も、働き方のアップデートを
「暮らしたい場所で働く」それができないことによって転職を考えざるを得ない方が多くいらっしゃいます。その中には、会社にとって大きな戦力となっている方も少なくありません。「力を発揮してほしい」「長く活躍してほしい」と言いながら、そんな方々を"逃がして(あるいは追い出して)しまう"ようなことをしてしまっている企業が実は多く、不思議でなりません。
昨年、大きな話題となったNTTグループの転勤・単身赴任廃止。他の大企業でも、少しずつですが、そういった流れは生まれてきています。地方に暮らす方からすると、地元企業で働く以外の選択肢が増えていることを意味しますし、「暮らしたい場所で働く」選択肢が増えているわけで、とても良いことだと思うんですね。もっともっとそんな企業が増えてほしいなと思いますし、ひとつの企業の中でも、働き方の選択肢が増える(選べる)ことを願ってやみません。
そして、その仕事がヤリガイや成長を実感しながら、"思い切り"働けるものであってほしいなと思います。それが、私たちが大切している『暮らしたいところで思い切り働く』という価値観です。