2022.02.10
"EVシフト"に見る産業の成長と衰退~日本製鋼所(広島)/ツバキ・ナカシマ(岡山)
腕も確かでスピーディーに対応してくれる整備工場が家の近くにあるのってホントに助かります。「よろしく~、ええようにやっといて~」で終わりです。サーモハウジングの交換が必要でしたが、原因の特定と修理も完了し一安心です。
この友人はかれこれ20年以上、自動車整備の仕事に携わっており、腕も確かで人も良いこともあって多くの固定客がいるようですが、とは言え、少子高齢化による自動車ユーザーの減少によって、自動車整備業の先行きは明るいとは言えません。
また、昨今の自動車メーカーのEV車シフトによって整備の仕事が縮小するとも言われています。EV車はエンジン車と比べて部品点数が少なく、エンジン車では必要となる部品交換や修理が無かったりするからです。今回私が駆け込んだ「オイル漏れ」の修理なども無くなるのでしょう。
さらに、多くの機能が電動化され、整備できることも限定されるとも言われています。EV車が本当に環境に優しいのかは怪しいところですが、、、2030年には電動車(ハイブリッド車・燃料電池車含む)が内燃機関車の新車販売台数を超えるという予測もあるように、動き出したこの流れは止まりそうにありません。
今のところ私はEV車にまったく興味がありませんので、いけるところまで内燃機関車に乗って、友人の整備工場を応援していきたいと思います!
さてさて、そんなふうに、大きなゲームチェンジによって厳しくなる産業はありますが、当然のことながら繁栄する産業、そして企業もあります。EV車で言えば、やはりバッテリーやモーター関連が注目されるところです。
例えば、お隣の広島県にある日本製鋼所(広島製作所)。プラスチック成形機などを製造する総合樹脂機械メーカーの世界大手です。
実はこの企業、リチウムイオン電池を構成する部材の一つであるセパレーター(絶縁材)に使用されるセパレーターフィルムの製造装置において、なんと世界シェア7割を誇っています。地味にすごすぎです・・・!
岡山では、今年に入り、金属・セラミック・プラスチックなどあらゆる素材の高精密ボールを主力製品とするツバキ・ナカシマが、EV車需要の拡大に伴い、セラミックボールの生産能力増強のため、岡山工場(岡山県勝央町)の増強投資を前倒しするとのリリースがありました。
EV車において課題となるのが「電食」と言われるもので、回転しているベアリング内部に電流が流れると接触面に微細なくぼみができてしまい、それが損傷の原因となります。同社のセラミックボールは熱膨張性が小さく、金属ではないため絶縁性が極めて高いこともあって、電食の問題を解決できることから新規の引き合いが急増しているとのことです。現在、同社のセラミックボールの世界シェアは約5割。今後さらなる成長が期待されます。
自家用車のオイル漏れから話がかなり飛躍してしまいましたが、また定期的に成長企業についての情報発信を行っていければと思います。